増田好幸さん
継続して関わったからこそ、見えてきた新たな気づき
- 多面的な視点で見ることができた2年間のイベント
- 初年度の開催から「未来のこどもラボ」発起人の西村啓大さんに誘われてボランティアに参加しています。私は消防局で働いていて勤務形態が丸一日非番になることも多いため、平日も都合がつきやすいこともあって声をかけられたのではないでしょうか。
準備段階では幟旗を伸ばしたりスリッパを用意したりといったお手伝いでしたが、イベント前の会場の様子を知ることができたのは面白かったですね。また、初年度は妻が町内のもうひとつの廃校で1週間前に開催された町主催のイベント「iママフェスタ」に関わっていたことから、力仕事や片付けなどを手伝ったので、ふたつのイベントを比較できたのも面白かったです。たとえば行政関係のイベントは長い期間でスケジュールを組んでいきますが、「未来のこどもラボ」は直前まで準備をしていて、開催中も備品などを作っていました。そうした臨機応変なかたちでもイベントが成り立つのはすごいなと思いましたし、今後何かイベントなどを行う場合には参考になるなとも思いました。
それに、初年度は家族でワークショップにも参加しましたし、2年目は子どもたちが「かえっこバザール」に3日間参加して楽しんでいました。使わなくなったおもちゃを交換できる「かえっこバザール」はとてもいい企画だと思うので、何かの機会に町内のほかの会場で開催しても面白いのではないでしょうか。そのためにも「未来のこどもラボ」にもっと町内の人が関わると、さらなる広がりが生まれるでしょうし、継続して開催していれば町民が関われる要素がもっと出てくると思っています。
- ボランティアで感じた課題と提案
- 町内には意外とボランティアをやりたい人がいるように思います。というのも、毎年、飯綱町社会福祉協議会が開催している子どもの育成事業「がぁたく塾」に参加していますが、以前に比べてボランティアが急増したからです。「がぁたく塾」での海水浴では、ボランティアのなかに子どもがいない方や自分の子どもは連れて来ずにボランティアだけ参加している方もいてびっくりしました。呼びかけるタイミング次第で多くの人が集まることを実感しました。同時に、そうしたつながりを広げていくためにはお互いに知り合うことが大切で、人と人とのつながりが生まれれば、最初は少人数でも少しずつ参加者が増えてくるのではないかとも感じました。
なお、私個人としては、子どもに関する事業にはできる限り協力したいと思っています。小学校を卒業してからは深く子どもたちに関わることはなかなかないと思うので、大変な面もありますが、長い人生のうちの今しかできない子育てに集中し、子どもたちにいろいろな経験を積ませながら自分も楽しめたらと感じています。
それに、私は今年、学校のPTAにも関わるようになって違う気づきも生まれました。たとえば「未来のこどもラボ」では平日の放課後に町内の学童保育施設をバスが巡回し、会場まで子どもたちを送迎していましたが、その際にケガなどをした場合、主催者側で責任が取れません。しかし、PTAが協賛として関わると、PTA向けの保険が使える可能性があるのです。保険が利くだけでも親は安心しますし、イベントもグレードアップした印象になります。また、保険は事業全体にかけられるので、場合によってはスタッフも保険の対象になるようですし、バスの行き帰りによる交通事故もカバーできるようです。ただ、そのためには学校や教育委員会に開催を認めてもらうための書類を用意するといったひと手間が生まれますし、基本的に学校帰りの事業が対象になるので、土日開催の企画や町外から参加する子どもはカバーできないという点もあります。それでもないよりはあったほうがよいものですし、準備段階からしっかりと調整し、関係者との打ち合わせもきちんと行ってチラシを全戸配布すれば周知も広がり、参加者もより増えるのではないでしょうか。本当はそういうことを知っている町内の人が関わって知恵を出し合えればよかったのですが、2年間関わったからこそ、違う目線で事業を見ることができ、気づきが生まれたと感じています。
- 「未来のこどもラボ」をこれからも継続していくために
- 継続して開催していると、ワークショップもよりグレードの高いものを企画しようという流れが生まれてくることでしょう。個人的には、もっと屋外を活用した企画があってもよいと思っています。たとえば、今年の夏休みに、子どもと隣町で開催された謎解きをする企画に参加しました。最初にカードをもらい、そこに記された場所に行って書かれている文字を読み取り、探偵のようにクイズを解いて最終的にゴール地点を導き出すものです。子供にとっては宝探しゲームをするような感覚で楽しめたようでした。「未来のこどもラボ」で同じことをやるなら、場所を示す看板や看板下の宝箱などを協賛している長野美術専門学校の学生にデザインしてもらったり、アイデアを出してもらっても面白いと思います。こういう仕組みを作れれば、廃校になったほかの学校でも同様の校舎活用ができたりと、応用も利くように感じています。
また、事業として継続していくためには、関わるスタッフがお互いに得意分野を出し合ってスキルアップを図りつつ、商売としても成り立っていかないといけません。そのためには、町内で同じように子どもに関する事業を企画している団体等とコラボレートしてもよいのではないでしょうか。リーダーシップを誰がとるかといった課題はありますが、もう少し行政とも関わりつつ、横のつながりが作れたら面白いと思っています。卒業生がもっと関わっても面白いでしょう。
そして、会場だった旧牟礼西小学校の校舎がどのように利用されていくかまだわかりませんが、今後もこの学校で開催できたらと望んでいます。 - ●増田好幸さん
飯綱町芋川地区出身。長野市消防局勤務。町内で町庁舎建設検討委員と議会だよりのモニター、地区の公民館役員、小学校のPTA副会長を務める。3児の父。